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2014年10月

2014年10月22日 (水)

天体写真撮影用赤道儀の製作 3号機の詳細

天体写真撮影用自作赤道儀 3号機の詳細です。

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<設計図から起こした3Dイメージ>

【主軸部】

  • ウォームホイル

協育歯車製 CAC702 モジュール1 減速比1/50 軸部内径φ10mm

  • ウォームギア

協育歯車製  S45 モジュール1 軸部内径 φ6mm

  • 主軸

ステンレスリニアシャフト φ10mm

  • ウォームギアシャフト

ステンレスリニアシャフト φ6mm

  • 主軸軸受

ピローブロック ひし形フランジユニット φ10mm

  • ウォームギアシャフト軸受

φ6mmベアリング(ベアリングホルダ付き)

  • 駆動モータ

バイポーラ型ステッピングモータ ST-42BYH1004 5V 1.0A/相 静止トルク4.4kgf・cm 軸径5mm

  • 減速ギア-1

モジュール0.75 歯数 15 軸内径φ5mm

  • 減速ギア-2

モジュール0.75 歯数 20 軸内径φ6mm

  • ベースフレーム

アルミ厚板 t=10mm

ウォームホイルの選定については、軸に十分な強度を持たせたかったので、φ10mm以上を前提とし、手持ちの減速歯車の軸径がφ6mmであること、歯数は50以下(ピリオディックエラーを出来るだけ長周期とする)としたかったことから、入手可能な上記組み合わせとしました。

結果的にはウォームホイルは、やや高い品物となってしまっています。

減速歯車の減速比は15/20と極めて小さいですが、これは、減速が目的ではなく、単に回転の伝達だけが目的のためです。

場合によっては、減速歯車を使用しないダイレクト接続もできるようなレイアウトとしています。

【カメラ取付部】

  • 軸受

オイレスピローひし形フランジユニット 軸内径φ10mm

  • 躯体

アルミブロック 50×50×20mm

  • ウエイト軸

寸切ボルト M10

  • ウエイト

真鍮製 φ60mm t=20mm

  • 雲台

バル自由雲台

  • 極軸合わせ

30mmファインダー

以上を、ウォームホイル/ギア、ベアリング等はオリジナルマイントの通販で入手しています。

これらを組むための軸受け等にアルミアングル/チャンネルを組み合わせました。

組み付けや接合は全て、ねじ留めとし、M3~M10のタップ立てを行っています。

今回の製作では、電動マルノコ(自作作業テーブル取付)にアルミ切断用歯を取付て使用しましたので、部材の切断は非常に楽になりました。

穴開けは、簡易ボール盤ですので、鉛直性等精度がイマイチです。

モータとウォームギアの干渉を避け、横幅を抑えるため、ウォームギアの配置は上下方向にしています。

カメラ取付部分は、結構悩んだのですが、ナノトラッカーのような主軸に直接雲台を取り付ける形式では、撮影方向により重量バランスが大きく変化することから、ドイツ型とし、バランサーでバランスを取って動作の安定性を狙っています。

構造は、50mm×50mm、厚さ20mmのアルミブロックを、菱形フランジユニットを取り付けた、t=4mmのアルミL型ではさみつけて回転できるようにし、M10の寸切ボルトを重りシャフトとしました。

固定は、M6ボルトにノブを取り付けたものでシャフトを抑える形式にしています。

アルミL型で挟んだのは、雲台取付幅を確保する他、菱形フランジユニットがφ22mmで取付側にも出っ張っており、この部分にφ22mmの穴開け加工が必要だったための苦肉の策です。

【コントローラ】

2号機のコントローラをほぼ踏襲しながら、新しく作り直しました。

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<コントローラ回路図>

3号機では、超低速回転のため、モータドライバL6470のRUNコマンドでは速度分解能が足りず、ステップ駆動モードを使用することにしました。

L6470のRUNコマンド( = RUN(DIR,SPD) DIR=回転方向 0x50 or 51 SPD=12bitの速度値)で指示するSPD値は、 p/sec = SPD×2^-28÷250ns で表され、ここでの「p/sec」は、マイクロステップではなく、モータの本来のステップ数ですので、当該モータの場合は400p/1回転での計算となります。

上記のギア比で1回/日の回転のなるためにはSPD = 11で0.9415回転/日、SPEED = 12で1.0271回転/日となってしまい実用に適しません。 これに対して、ステップ駆動モードでは、1パルス = 1マイクロステップで動作しますので、細かい設定が可能です。

回転速度は、1回/1436minですので、ウォームホイール/ギアの減速比 1/50、減速ギアの減速比 15/20で、 1/1436÷1/50÷15/20 = 0.046425r.p.m となります。

使用するステッピングモータ(ST-42BYH1004)は、400step/1回転ですので、これをさらに1/128のマイクロステップ駆動とすると、 0.046425(回/min)×400(step)×128 = 2,377(step/min) = 39.62(step/sec) = 39.62Hz のパルスが必要となります。

Ardiuno互換のATMega328では、正確なパルス生成が難しそうなのと、根本的に入出力ピンそのものが足りないことから、PIC12F629をパルスジェネレータとして使用することとしました。

PIC12F629は、Timer1割り込みを使用し、Timer1レジスタの初期値を所定のパルス周期発生のために必要な値とすることで、パルスを得ています。

初期値を増減させることで、速度調整ができるようにしています。

この速度調整は、ピリオディックエラーキャンセラとして、あるいは将来(?)オートガイダ搭載時の機能として使えるようしたものです。

なお、パルスの正確性を確保するため、PIC12F629の動作には外部発振でクリスタルオシレータを使っています。

このパルスジェネレータとしてのPIC12F629を加えた以外は、ほぼ2号機と同じコントローラです。

高速回転は、ST-42BYH1004+L6470の組み合わせでは、40r.p.mは十分に回転しますので、今回の超低回転と併せて、主軸を2min/回(モータ回転速度=33.3r.p.m なんと700倍速!!)の速度としています。

この他、星景撮影モードとして、1/2速での動作を加えました。

星景撮影モードの1/2速時の速度は、正確に1/2となる必要がないので、ステップ駆動モードではなく、L6470のRUNコマンドで実現しています。

付加機能として、撮影コントローラ(ミラーアップ撮影、ディレイ撮影に対応 露出時間は1秒以上)、結露防止ヒータコントロールを付けています。

撮影コントローラは、既に紹介済のものですが、結露防止ヒータコントロールについては、以前書いたものと大きく変わっていますので、その詳細を書いておきます。

面状発熱体は、以前に書いた20Ωのものでは、電流が無駄に大きくなるだけということ分かり、80Ω×2枚に変更しました。

温度コントロールも可変電圧キットによる方法をやめ、ATMega328のPWM制御で行うこととしています。

面状発熱体部に張り付けたサーミスタで温度を計測し、これに基づいてPWM制御(ダーリントントランジスタ経由)で設定温度になるよう温度制御を行えるものとしています。

外気温との差を5度程度に設定した場合、平衡時のPWM制御で50%程度(5~6V)ですので、消費電流も100~200mA程度ではないかと思います。

ヒータコントロールは非常にスマートになりましたが、これはひとえにPWM制御が簡単に使えるArdiunoのおかげです。

コントローラは、今までの使用感から、赤道儀に内蔵する形式にするつもりで、新たに基板を作成しました。

2014年10月15日 (水)

天体写真撮影用赤道儀方針転換 3号機の製作

久々の書き込みは、天体写真撮影用自作赤道儀の総括というか、方針変更についてです。

ノーガイドでの精度を求めることを前提にアーム長を長くとって、絶対的な誤差の小さくすることを狙うため、あえてタンジェントスクリュー式を採用し、2012年の1号機製作以来、数々の改造を重ねてきました。 その主なものは、

  • スクリューを寸切りボルト → 台形ねじ

ねじピッチの精度の他、寸切りボルトでは、直径がやや小さく(M8では、φ8mmより若干小さい)、軸受けベアリングで受ける場合、偏芯を避けれないので、正確にベアリングで受けれるよう台形ねじを使った。

  • 主要構造材をMDF(木製チップ材)からオール金属製(アルミ)へ変更

強度増加と精度向上を目指して木製の1号機から総金属製の2号機へ

  • 大きなステッピングモータによるギア比の最小化

SPG27(減速機付きユニポーラ型)、ST-42BYG020(ユニポーラ型)、SM-42BYG011(バイポーラ型)、ST-42BYH1004(バイポーラ型)と変更し、ドライバーもそれに併せて変更した。

ギアのかみ合わせ等工作精度が出ない中での精度維持を目的に、ギア段数を減らし、最終的にはスクリュー(台形ねじ)を歯車を介さずにダイレクトに駆動するため、比較的安価に入手可能な範囲で、大トルクのバイポーラ型ステッピングモータへ変更した。

  • ムーブメントの精度向上    

アームの構造の変更、スクリューの直線運動を回転運動に換えるための機構については、簡便なスリットによる褶動から、最終的にはリニアガイドを使用。

と、さまざまな対策を講じてきましたが、絶対的精度は±20秒程度には納まるものの、その周期が1.5分(=スクリューの回転速度)と短いため、長焦点レンズでは30秒以上の露出に耐えないと言う限界が克服できませんでした。

こういった状況で、ナノトラッカーを購入、撮影してみると、ピリオディックエラーは非常に大きいのですが、その周期は29分弱と長いため、長焦点レンズでも30秒程度の露出には耐えると言う事がわかりました。

これには、衝撃を受けました。

ピリオディックエラーの絶対値を小さくすることばかり考えていたのですが、ピリオディックエラーの絶対値が大きくても、周期が十分長ければ、実用上はそちらの方が有利であると言う当たり前の事に気付かされてしまいました。

そこで、方針を転換し、3号機を新たに作成することとし、タンジェントスクリュー式をやめ、ウォームホイル駆動で挑戦することとしました。

精度が少々悪くても、周期が長ければ、短時間の露出には耐えるものだと言う事を前提とし、

  • ウォームホイルの歯数は小さくする(長いピリオディックエラーの周期を狙う)。
  • ギアの組み合わせは最小とする。
  • 回転トルクは、大きいモータで補う(車用バッテリーを電源にするので省電力は二の次)。
  • マイクロステップで必要なパルス数を確保(20p/秒以上)

を製作の基本事項としました。

実機は、

  1.  ウォームホイル/ギア・・・モジュール1、歯数50
  2.  主軸・・・・・・・・・・ φ10mm
  3.  ウォームギア軸・・・・・ φ6mm
  4.  モータ減速比・・・・・・ 20/15
  5.  モータ・・・・・・・・・ バイポーラ型ステッピングモータ ST-42BYH1004 5V 1.0A/相 静止トルク4.4kgf・cm 軸径5mm
  6. モータドライバ・・・・・ 秋月電子製ドライバーキット(L6470使用)
  7. 標準パルス・・・・・・・ 39.62p/秒(1/128マイクロステップ駆動) モータ回転数  1回/1436min×50×(20/15) = 0.0464r.p.m = 21.54min/回
  8. コントローラ・・・・・・ Ardiuno互換、標準/700倍速(正/逆転)/1/2速、レリーズコントロール、結露防止ヒータコントロール
  9. その他・・・・・・・・・ バランサー付き(ドイツ型 1軸駆動)、極軸合わせ用φ30mmファインダ搭載

を諸元とし、製作にかかりました。

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ほぼ、完成形に近い形まで出来上がっていますが、構想どおり、回転トルクが足りるのか、ピリオディックエラーの程度はどうかと試写で詰めていきたいと思いますが、さてどうなることか結果が楽しみです。